建築基準法改正

建築基準法の大幅な改正が、この20日から施行されます。
理由はお察しの通り、例の耐震偽装事件が直接のきっかけです。

私にとって、愕然とする事件でした。
そして全く理解の出来ない事件でした。
あのような偽装を行って、一体何が当事者達の得になるというのか・・・・。

マスコミなどでは、利益追求の共謀説、陰謀説など、様々な憶測がまことしやかに流れていましたが、実際に設計に携わっている身で考えると、思い込みや演出が過ぎるのではないか?と感じるものも多数でした。

結局、みすぼらしい、なんとも遣り切れない、姉歯(元)建築士が偽装に手を染めたその理由が見えてくると、あれほど騒いでいたマスコミも、熱が冷めたのでしょうか。被害に遭われた方々のマンション再建着工の報道に際しても、何等、この件に関して総括も成していないように思われます。あいまいな認識だけを世間に残して・・・・・。

そして事件の混乱から、国交省による不眠不休の作業の甲斐あって、今回の法改正の施行となったのです。

実はこの改正、施行直前にも関わらず混乱が続いています。法改正に関する細かな約束事や解釈が、18日にならないと公表されないのですね。
事前に判っている範囲での改正内容から判断すると、これからしばらくの間、設計者にとっても、それを審査する者にとっても、ぶっつけ本番、かなりの混乱状態になってしまいそう。
選挙前だからこの時期なのか?ってのは穿った見方なのでしょうけれど、そうも思いたくなる状態です(苦笑)。

そして、建物の構造の安心を目指しての改正のはずなのですが、肝心の構造設計専門に携わる人々にとっては、落胆する方が多い事も間違いないようです。このままでは忙殺されてしまうと危惧していいます・・・・・。

「構造消耗マラソン」が6月20日スタート

それでは果たして、忌むべき事件に端を発した、今回の一連の法改正などが、最終的にクライアントの方々の利益となるのでしょうか?

建物にもよりますが、「構造のピアチェック(再計算)」や、設計図書に対する「施行の厳密化」などは、現実的にどこまでを適用させるのか?など試行錯誤が続く部分も多々あるように思いますが、建物の信頼性を高める利点もあります。
そして2009年秋には「住宅瑕疵担保法」が施行予定ですが、これは建物の保障保険義務付けになり、かなり利点が大きいと考えています。

欠点は、やはり上記に伴う、時間とコストということになりますか・・・・。

いずれにせよ賽は投げられてしまいました。諸々問題はありそうですが、歪なねじれから生じた今回の変化。更により良くする為にも、建築に携わる者、皆で努力が必要なのは言うまでも無い事です。私もその中で努力を続けなければならないと考えています。

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